今、木工をしている人たちにサイクロン集塵機が流行っています。

家庭用掃除機にサイクロン掃除機というものがあります原理はほぼ一緒ですが形がまるで違います。
どちらかいうと木工所にある物の縮小版といった感じです。

原理等はmokkinさん、が詳しく述べられています。
思い立ったらDIYのkazu@あきたさんには購入したダクトの異径管と同じものをで作っておられたため色々お聞きしお世話になりました。

原理はというとどんなものでも当たり前でしょうが結構複雑。
メーカが製品として出すには当然、しっかりした裏付けが必要です。
その点我らDIY’erはなんやワカランけど面白そうなので試してみようという心がまずあって結果が後で付いてきます。結果すら付いて来ない時もありますが。
どうしょうこうしょうと考えている時間とか、部品集めなどひょとしたら過程を楽しんでいるのかも知れません。

というわけで私もその性能を実感するために作ってみました。

まずは情報収集です。インターネットのありがたさが痛感できます。サイクロンといえば家庭用の掃除機の一分野ぐらいしか認識が無かったのがネットのおかげで原理、構造が分かりました。

目標点  サイクロン構成図  使用部品  モータ部の加工 実際の加工  組立て  試運転  対策  改良点  全体の固定



目標点

自分なりに集塵機に求める目標点を決めました。

 1.ゴミがストレス無く集塵出来る。
 2.相反するが出来る限り省エネで。
  元々部屋としての使用は考えていなかったので電気が20A1回線。
  電動工具同時使用の際ブレーカーが飛ぶので別に1回線引っ張った。
  いずれにしてももう少し大きな系統を引く予定。
 3.部屋中には出来る限り埃をまき散らさない。
  出来れば排出された空気は屋外に出す。

   ※工作室は開口部が道路よりアプローチで下がっていく感じの地下駐車場です。
    2台を横に並べているのですが1台は白の軽なのでどうでも良いのですがもう一台が問題。
    黒塗りの4ドァー車です。新車に係わらず乗るにいちいち洗車をする必要があるぐらい埃が付きます。
    一応今回、周囲にカーテンを張り巡らしたのですが。
    その為部屋の中には出来る限り汚れた空気を出したくないのです。
 4.基本は24時間空港なみに使いたい時にいつでも使える体制。
  というのは本職を持っており木工に費やすことの出来るのは主に仕事が終わってからであり、どうしても深夜に及ぶことが  ある。
  そのために工作室をわざわざ密閉された地下に持って来て少しでも音を外部に出さないように心がけている。
  一応お隣と裏の方にはトリマー、コンクリートドリルの音が聞こえないと確認を得ているが、唯一の開口部が問題。
  7m道路を隔てて公園なのだがその公園の奥にマンションが。
  マンションの住人の考え方がイマイチ分らないので細心の注意が必要である。

サイクロン構成図
サイクロン構成図のように各パーツに分けて作成しました。
これは各部材のテストを容易にしたり後々改造し易く、メンテナンスが容易にするためです。

A サイクロン本体
B セパレータ用内筒
C インレット(吸入口)
D 吸引モータ
E モータ部と本体を仕切る蓋
F 本体とゴミ収集箱を仕切る蓋
G ゴミ収集箱


製作はあくまでもチルチン個人の考えで行ったことで危険なことも行っていますので個人の責任で行ってください。



使用部品

まずは吸引機ですが手元の掃除機は乾湿両用タイプで音とその物理的大きさのため別な物を考えることに。
友達がちょうど手頃な物があると言うことで送ってもらいました。

サイクロン本体はVU管でしようかトタン板でするか悩みましたが結局1からトタン板による加工ですることに。

まず材料の入手です。本体を作るに当たりトタンが必要です。簡単に手に入るであろうと思っていたのですがこれが難関。
ホームセンター、建材店に行っても無いのですね。これが
昔は板金屋は一般的で町内には一軒はあったものです。
しかし衣装箱はプラ箱に樋もプラになり商売が成り立たなくなってしまったようです。
その為売っているのは塗装トタンのみ。仕方なく近くの建材店に注文。
先が思いやられます。

その後、隣県のホームセンターに出掛ける。ここは東京の巨大ホームセンター、プロショップがあり朝7時から開けています。
最近では連日建築関係のプロが押し寄せています。おかげで地元のホームセンターも負けじとばかり次々とプロショップを併設。
おかげで我々にも情報が得ることが出来ます。聞くところによると建材店より安く、商品も桁外れ、駐車場も広いと良いことずくめ。ただ商品の材料が一般人にも分かり今まで高値で言っていた建築屋さん大変でしょうね。

話がそれましたがここでトタン製の200Φから100Φへの異系継手発見、どこかのHPで見たことあるぞ1300円ほど思わず買ってしまいました。これならトタン板、何も買うことはなかったのに。
とあえずはこれでサイクロン本体を作ることに。


購入した異径継手
ダクトを200Φから100Φに変換するものです。
サイクロン本体に使います。
材質は0.5mmトタン板。
大体1300円ほどです。
これを本体とします。

セパレータ用内筒
100Φの継手です。長すぎるので結局亜鉛引きトタンで造りました。
用意したパイプ類
HCで買ってきたり近所の工事店から切れっぱなしを貰ってきました。
ゴミ受け用ペール缶
行きつけのガソリンスタンドで取りあえず2個貰ってきました。オイルが残っているので綺麗に掃除
換気口カバー
サイクロン本体の受け台に使用します
これでペール缶に本体をしっかり固定します。
中の栓は不必要なので取り外します。
ゴムリングはパッキンとして使用。


モータ部の加工

完成品のブロアーが手に入る人はそれに合わせた取り付け方を模索すればいいでしょう。
掃除機を使われる方はモータは元々それに合わせたプラスチックのケースにがっちり固定されていますので心配ありませんが私の場合はモータ単体なので固定するには工夫が必要でした。
なお、モータは高速回転します。改造はくれぐれも注意の上に注意を払って行ってください。
使用したモーター
友人から貰った新品の掃除機用モータです。
直径10cmばかりの小型モータですがさすが掃除機用、560W32000回転の高速回転です。
起動時はギュッと押さえておかないと危険です。
モータ部を覆っているのは防音用のフェルトです。
安価な整流子モータですので埃は大敵です。
空気は右が吸い込み口でモータを冷やし左から出ていきます。
掃除機のモーターは自己冷却型で回転して得られた風でもって自分を冷やす。ということは風が動かなくて回転だけだとまずいことになります。

右のゴムリングが支えでこれがピッタリ100Φの継手にはまります。
温度は100度以上でも可能で連続運転にも支障がないそうです
見事整流子型モータです。 支持用に手持ちの金具をグラインダーとヤスリでこんな部品を作りました この金具を本体にを止めているネジで固定 ピッタリ100Φの継手にはめ金具をパイプにネジで固定

後ろからコの字の金具を作り押さえています。

百均で買ったステンの天ぷら用網
柄のステン棒は切りネットの強化に使用。
これをモータの入り口部分に入れゴミ防止用とする。
前にフィルターを置くので丈夫にする必要があります。
完成した吸塵モータユニット
100ΦのVU管とその継手です。
途中の線はモータの電源線。中継コネクターを付けた。
写真は上下逆で太い部分がサイクロン本体に接続されます。


実際の加工

丸い筒の切り方
必ず前もって型どりが必要です。
適当に切ったりするといがんだり上下が合わなくなります。
噛み合うエルボに合わせて線引きをするとずれが少ない。
トタンを切る
金切りばさみで切る。
さすがハサミ、直線は快適である。
インレットC(吸入口)加工
インレットは口径32Φとした。
細いほど円筒への流入スピードが大きくなり、風速が増加する。但しこの事によりシステム全体の圧力損失は増加するので使用する円筒と手持ちのホース類からこのサイズにした。
切り口がイマイチ分らないのでまず紙で型紙を作り開口口を確認する。

インレットの穴開け
ドリルで穴を空け金切りばさみで切りはじめるが穴が小さいのとトタンが分厚いためうまくいかない。
シャーシパンチ、ホルソーは真円専門である。楕円を開けるにはと悩んだ末思い出さしたのは以前ケース作りの際使用したハンドニブラを持ち出す。
この厚さであれば快適である。
電動ニブラは永らく使用して無かったため錆び付き動作不良。
道具は手入れが大事であることを痛感。
サイクロン本体の蓋
皆さん覗き窓を作っておられますが私は5mm厚のアクリル板を持っていましたのでそれを使用。
全面が覗き窓です。
プリント板カッターで旨く切れました。
ゴミ受けの蓋
上にサイクロン本体が載るのでアクリルでは心もといのでベニアで。
実は電動糸鋸でアクリル板の穴を開けたのですがこれが大変。
アクリルの場合、材が焼き付き後処理が大変。
木ではあるが急遽トリマーでコンパスの治具を作る。
ゴミの落ちる穴
穴が小さいので写真の道具で
これもメモリがかなり荒っぽいので一応別の板でサイズの確認を行ってから本番を行った方が正確なサイズが開けることができます。
綺麗に開きました
当然ですが同心円の穴を空ける時は必ず外からさもないと小さな穴を開けることが出来ません。


組立て
本体の支持方法
支持棒もなく立てるためゴミ箱の蓋に
換気口カバーをしっかり止めそこに
付属のゴムリングを入れサイクロン
本体を差し込みアルミテープを撒いている。
吸引口から
アクリル板との間はゴムリングを被せている。
温度観測用センサ
装置に温度上昇観測用



試運転

全体を組上げ試運転

別段各装置を固定していないがモータが回り出すとピッタリ張り付くので試運転はこの状態で行った。
トリトンのペールに貯まった10Lばかりのゴミを吸ってみる。
凄い勢いで回転し一気に吸い上げる。
上部が全面アクリルなのでこの動作状態はよく分る。

しかしながら口をふさぐとゴミ受けのペール缶から細かな埃が舞い上がるのが見える。
このまま口を押さえていると写真のような状態である。
このままではとても使えない。

なお、試運転では吸塵モータの前の空間に掃除機用フィルターを無理ヤリ詰め込んだ。


対策
色々考え悩んだ。手持ちの乾湿タイプの1kWの掃除機よりよく吸うのだがつまった時が上記の状態である。
本構成ではやはりこの程度が限界か悩む。
その為サイクロン本体と吸塵モータの間に掃除機用のフィルター格納容器を作ろうと思った。

たばこの煙であっちこっちをチェックするとペール缶の蓋(F)に隙間が開いているようである。
一応合板の周囲は段差を作りスポンジを貼っているのだが密閉が不完全なようである。
再度、ペール缶、蓋ともゴムを貼り密閉度を完全に取ると
ペール缶との蓋をこの通りゴムでパッキン サイクロン本体とモータ部の蓋も本体側にゴムを
なおアクリル板はほぼフラットなので電気を入れると完全に吸い付く

バッチリである。

動作としては他の方の言われるように
細かな埃は吸い込むと同時にアクリル製のモータとの蓋(E)にまず張り付き高速に回転し落ちていく。
中くらいの大きさのゴミはカラカラ回って、ネジなど重たい物は数回転した後落ちる。
口を閉ざすとほとんどのゴミはペール缶に落ちる。

もし、細かなゴミが吸い出し口から出るようであれば一度装置の密閉度を疑ってみることをお勧めします。
勿論、サイクロンの口径セパレータ、傾斜部との関係、モータの能力等々要素があるでしょうがまず全体の密閉度をチェックしてみてください。


改良点

セパレータ径の変更
試作品をじっくり見つめてみるとセパレータ用内筒の径が100Φでありコーンの径が200Φなのでアンバランスな感じが。
系統を100Φで行ったつもりだが導入管が32Φしか入らないのでセパレータを40ΦのVU管で作った

結果は回転速度は速くなるし吸い込みも若干上がったようである。
細かな埃の吸い上げもほとんど無い。
これでシステム自体は完成です。
試作であり載せているだけで風圧で止まっている状態なので完全に固定する必要があります。
モータ部のフィルター
アクリル束子を3枚口径に合わせて切り取り置いた。


全体の固定

土台部
土台が肝心ということでベースの板を作りその上に金具をペール缶の寸法に合わせて付け強力なゴムひもで固定した
全体像
スィッチ付コンセントを取り付け集塵ホースを土台に絡ませ少々ホースを引っ張ってもひっくり返らないようにした。

台車  普通の掃除機のようにホースを引っ張るだけで自由に移動を目指し
当初は百均のコマ付の移動花台に固定し
たが懸念通りホースを引っ張り回っている
うちに小さすぎて見事にひっくり返った。
改めてコンパネで安定な大きさで作り    
4隅にコマ車を付ける
4カ所で止める丈夫そうな物です


各パーツの固定
サイクロン本体の蓋をゴムで引っ張り     本体の出っ張りに引っ掛ける。         
ここは改良する必要あり。
モータをVU管の止め金具を加工して作る。
蝶ナットで開けやすく。



DIY ETCメニューへ本ページのトップへ 2004.9.6日作成 2004.9.16加筆




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